ベジタリアンと宮沢賢治

ベジタリアン市場についてのコラムで触れた宮沢賢治の作品『ビジテリアン大祭』を紹介したい。今から約90年前(宮沢賢治没後)に発表された作品で、ニューファンドランド島でベジタリアンの祭典が開催されるという設定。その中で、ベジタリアンの考え方は大きく2つだと。
1) 同情派:動物愛護的な「動物がかわいそう」という視点
2) 予防派:健康面で肉は食べない方がよいという視点
この2つの考え方は今のベジタリアン市場のベースともなっている。
この祭典ではベジタリアンと非ベジタリアンの論争もあり、「肉を食べない=動物を殺さないから倫理的によいという考えは利己的だ。植物だって命がある。動物の命と植物の命に大小をつけるのはおかしい」「動物も植物も食べずに霞を食べて生きていけるという人もいるが、そういう人だって水や空気を吸って生きている。水や空気には微生物もいるから、他者の命を奪わずに生きていくのは不可能だ」など。中には世界的な食糧危機について言及している意見も登場する。
90年前にベジタリアンをテーマに作品を書いた宮沢賢治は、かなり新しもの好きだったと推察される。自身も一時期ベジタリアンだったが、それはきっと「同情派」でも「予防派」でもなく、当時の最先端の考え方への好奇心からだったのではないかと思う。