戦争と平和と食生活

食を軸とした世代研究の際に定性調査の対象者として最年長のグループが昭和一桁(昭和元年~昭和9年生まれ)の方々でした。食のキーワードでは「粗食世代」と名づけ、覚えている限りの幼少期から現在に至るまでの食生活の変化について個別のデプスインタビューを行ないました。
この世代は、小学生ぐらいまでは「戦前」で、中学生~高校生ぐらいが「戦中」、「戦後」はティーンエイジャー~20歳以降にあたり、子供の頃の「戦前」の比較的豊かな食生活も経験しているのが特徴でした。昭和初期に味わった「舶来品のジャム」「ロールケーキ」なども記憶に残っていました。戦時下になると一気に手に入る食材は限られ、白米までが贅沢品となり(疎開先によっては豊富に美味しい白米が食べられて驚いたという証言も)、成長期に食べたいものが十分にお腹いっぱい食べられなかったという記憶の反動で、戦後日本が豊かになって行く過程で「美味しいもの」へのこだわりは強くなっていったという方も。自らを「グルメ志向」だと語り、「分厚い肉のステーキがいちばんのごちそう」という方も。
長生きできているのは、成長期にいわゆる粗食で育って耐性がついたからなのかもしれないという自己分析をされる方もいて、妙に納得したのでした。これほど食生活の変化が劇的にあった世代は他にないと思いました。8月だからこそ、あらためて平和と食生活のありがたさを考えたいものです。