写真を撮りたくなる人

「定点観測」(毎月決まった週末の午後の同じ時間・同じ地点での街を歩く人々の観察)をしていた時の話。当時は渋谷パルコ前、原宿千疋屋前、新宿紀伊国屋書店前の3地点が基本で、土曜日の14-15時の間に女性、男性、女性のスカート着用数、カウントアイテムの数(その時流行っているアイテム)などを交通調査などでおなじみのカウンターを片手(時には両手)に手動でカウントしていました。カウント作業をしない人やカウントの時間前後は、ひたすら撮影タイムで、象徴的なファッションの人には直接声を掛けて詳しく全身のアイテムについて聞いたり、持ち物を見せてもらうこともありました。
ファッション雑誌のストリートスナップと大きく違うのは、いわゆるPR目的の仕込みなど一切なしの、ありのままの人間観察をすることで、初代編集長から受け継がれていた今和次郎の考現学や民俗学に基づく視点での定点観測でした。
そんな中でも、10m先から「あ、あの人に声を掛けてみよう」「この人、撮りたいな」と思う人は、例えば同じアイテム(例 ラルフローレンのポロシャツ+デニムとか)を着用していても、歩き方や立ち姿が直観的にきれいだなと感じる人でした。それは決して顔の作りが美しいとか、スリムだとか、足が長いとか、部分的な話ではなく、あえて言語化すると ①全身のバランスがきれい(全身と顔の大きさのバランス) ②骨格がきれい(フェイスライン、鎖骨や肩甲骨、姿勢、歩き方) ③筋肉がきれい(全体的な身体のハリやボリュームの均整、見えている場合は手足の筋や首筋)など、ファッションアイテム以外の要素なのでした。観察すればするほど、究極のおしゃれな人とは、身体のラインが出るノーブランドの白Tシャツとデニムだけでも「この人、何かおしゃれ」と感じさせる雰囲気のある人なんだという結論に至り、適度に身体を鍛え続けることの大切さを学んだ気がします。