ヒルズ20年史。進化? 退化?

六本木ヒルズのオープンは2003年。当時はITバブルの時期と重なり、ヒルズ族なる言葉も生まれ、都心の商業施設・オフィス・レジデンスの新たなスタイルの都市開発の象徴的な存在だった。その後、表参道ヒルズ(2006年)、虎ノ門ヒルズ(2014年)と続き、最新のヒルズは2023年にオープンした麻布台ヒルズだ。あくまでも個人的な感想だが、この約20年でヒルズの魅力というかワクワク感は年々下がり続けている気がする。

表参道ヒルズはテナントに入っていないみゆき通りのハイブランド店(バレンシアガ、ステラマッカートニー、プラダ、ルブタンなど)の買物にもヒルズポイントを付けるサービスを行っているが、従来の表参道ユーザーの中での表参道ヒルズの存在感は極めて低く、吹き抜けの駄々広い空間は今は虚しささえも感じる。

六本木ヒルズがオープンした時は、映画館や27時や28時まで営業している夜型の飲食店が魅力で、主に24時以降に利用するのにはとても便利だった。表参道ヒルズは六本木ヒルズほどオープンのインパクトがなく、いつも間にかできていたという印象。当初はオーガニックカフェや好きなファッションブランドがあったが、今はそのどちらもない。虎ノ門ヒルズと麻布台ヒルズは、日常的な行動範囲でないので、仕事の打合せでオフィスやカフェを利用する程度でテナントにはあまり興味がなく、どんなお店が入っているのかもよく知らない。虎ノ門と麻布台はどちらもすり鉢状の地形が何となくエネルギーが澱んでいる印象(風水的にもよくないと言っている人は複数いた)で、行くと、気のせいかもしれないが、何か息苦しさを感じる。

50年ぶりとも100年ぶりとも言われる都心各地の再開発は今なお進行中。メジャーなテナントの重複やエクステリアやインテリアのタイプの類似性などのせいでどこに行っても既視感が強く、新たなものが世に出てくるような期待感が残念ながら世の中全体のマインドとしても、あまり感じられない。

特に圧倒的に足りないと感じるのは、カルチャーの要素。大音量の音楽イベントにも対応できるvenue、クラシックやオペラにも対応できるコンサートホール、歌舞伎や能が上演できる能楽堂など、AIには代え難い生身の人間が演じるパフォーマンスの価値は、こんな時代だからこそもっと評価されるべきではないかと個人的には思っているので、それが堪能できるような空間があるといいのになぁ。

※画像は日比谷線虎ノ門ヒルズ駅にあった路線図風の森ビルの広告。