子供部屋おじさんのいる家庭

70-80代の女性を対象に個別のデプスインタビューを行なった時のこと。属性の確認で、家族構成を聞くと、夫婦2人(子供は独立)かひとり暮らし(夫と死別)がほとんどなのですが、ここ何年かは未婚の息子(50代以上)と同居というパターンも増えてきているように感じた。
料理や家事について聞くと、「朝食は夫には和食と緑茶、息子にはパン、サラダ、ヨーグルト、コーヒーを用意している」「夕食は夫は焼魚、息子はハンバーグ」など、夫用と息子用の2種類の食事を作っているという方もいた。本人に聞くと、それを苦に思っているわけではなく「当たり前」なのだと。そういう家庭ではもちろん、掃除・洗濯なども全て主婦の役割。さぞかし大変かと思いきや、「毎日忙しくしているからボケない」と言う方もいた。
あ、これが俗に言う「子供部屋おじさん」のいるご家庭かと。子供部屋に住み続け、そこから通勤し、料理や家事はお母さん頼み。気づいたら「おじさん」になっていたという人々。報道では社会問題としてネガティブなイメージで取り上げられることが多いが、私が出会った当事者たちからは全く悲壮感は感じられなかった。長年独身の息子に今さら結婚を急がせる空気もなし。深掘りするテーマがそこではないので、なかなか核心について聞ける機会はない。
統計的には、日本の男性の生涯独身率(50歳の時点で一度も結婚経験がない人の割合)は1970年が約2%だったのに対し、2020年では約28%(2040年には約30%という試算あり)と50年で14倍、激増している。定性調査の約10名ぐらいで3名が該当するのも、統計的な数字とも符合する。ちなみに女性の生涯未婚率は20%弱(こちらも増加傾向)。
私の周囲では初婚のアラフィフ婚、アラカン婚も聞くので、人生100年時代、50歳時点で独身かどうかで「生涯未婚率」として決めつけてしまうのも時代にそぐわなくなってきているのかもしれない。


